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diary 大浦信行監督日記
2007年03月05日 16:55
監督ノート 百合花日記(ゆりいかにっき)
3月4日(日)晴。
今日のゲストは針生一郎さん。
いやぁー、針生さんは元気だ。82才に見えない。
トークの時、最初にぼくが5分程話し、次いで針生さんにバトンタッチ。針生さんは話し出すと止まらない。30分のトークの予定を軽くオーバーし、50分間、ひとりでしゃべりまくった。30分過ぎたあたりから、ぼくは時間が気になっていたが、途中でことばを挟むのがどうしてもためらわれてしまう。尋常ではない。あれよ、あれよという間に、50分間が過ぎていった。
その熱気。気迫。どうしてもこれは語っておきたいんだという鬼気迫る熱情。とにかく圧倒された。かつて軍国少年だった自己の、盲目的な目隠しされた純粋さを恥じ、戦後は、論壇で声高(こわだか)に唱えられていた「戦争で抑圧されてきた人間性の回復」、あるいは「個人的主体性の確立」といった論調を批判し、「客体性」の回復こそが大切なのだと説く。具体的な自分の体験を踏まえて話を進めていくだけに、説得力がある。
会場の人々も、針生さんの話にどんどん引き込まれていた。
久しぶりにこういう人物に出会った新鮮さを、感じ取っていたのではないかと思う。
トークのあと、針生さん、工藤クン、田上さんとぼくの4人でポレポレの近くの焼き肉屋で、ビールとキムチで談笑。
鶴見(俊輔)さんはとにかくおもしろい人だという話で盛り上がる。
針生さんが新日文の編集長の時、鶴見さんに天皇制反対の原稿を依頼した際、鶴見さんはこう答えたという。
「天皇制反対といって、両手を突き上げると脇が甘くなる。
すると甘くなった脇の部分に国家権力が付け入ってくる。
だからぼくは、天皇制反対といって手を突き上げないんだ」と。
なるほど含蓄のある話だと感心する。
ビール/中ジョッキ3杯。
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