日本心中

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diary 大浦信行監督日記

2007年03月14日 14:52

監督ノート 百合花日記(ゆりいかにっき)

3月13日(火)快晴。
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熊谷(博子)さんに会いたかった。会って話したかった。
だから今日は朝からソワソワして落ち着かない。
熊谷さんは「三池 終わらない炭鉱の物語」というドキュメンタリー映画をつくった。
「三池」は久しぶりに出会った丁寧なつくりの真摯(しんし)な映画で、心が洗われる。ぼくと造り方は正反対なだけに、余計引きつけられる。監督は三池について云いたいことは山ほどあるだろうに、それをグッと押さえて最小限度の言葉に還元し、ただただ対象を見詰めていく。
その結果、監督の眼差しは次第に対象に乗り移り同化され、登場人物たちの存在を豊かなものにしていく。その彼等の言葉の連なりの中から、三池の歴史がジワリと立ち上ってくる。
ぼくが「三池」を見た時、横に座っていた中年の女性は、声を上げて泣いていた。若い人たちもたくさん見に来ていた。
そのような映画を撮った熊谷さんは、いたって真正面を向いている人。そこには一点の曇りもない。なんのてらいもない。
その生真面目一直線の熊谷さんだから、あのような心に深く染み入ってくる映画がつくれるんだなぁと思う。
トークで熊谷さんは語っていた。
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「私がドキュメンタリーをつくる時、いつも心に決めていることが三つあるんです。それは自分が裸になること、ラブレターを書くこと、そして対象について猛烈に勉強すること」。
とても印象に残る言葉だった。
ぼくのように想像力や倍音をもった観念を武器にして、この現実の裏側へ行こうとしている者からすると、熊谷さんの映画は、そういう自分を一瞬ハッと立ち止まらせ、もう一度あなたの足元を見つめ直しなさいと教えてくれているようで、啓示に富んでいる。原点に立ち返る勇気を与えてくれる。
熊谷さん、またお会いしましょう。
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