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diary 大浦信行監督日記
2007年03月08日 14:22
監督ノート 百合花日記(ゆりいかにっき)
3月7日(水)晴。
朝から空が高く、澄み渡っている。
ベランダ10階から、山梨の方を眺めていた。
かすかに遠く、白い雪をかぶった南アルプスの山並みが見える。
ここに移り住んだ当初は、川崎・麻生区から南アルプスが見えるなんて信じられなかった。
でも南アルプスらしい。
今日、トークで若松(孝二)さんに会った。
若松さんはこの一月末に、念願の、またライフワークでもあった「連合赤軍」を撮り終えたところだ。編集も第一稿が上がったとのこと。意気揚々として若い。
この連合赤軍のカメラは、前作「日本心中」、本作「9.11−8.15」の撮影を担当した辻(智彦)クン。若松さんの前作「17歳の風景」も辻クンのカメラ。
それで自然と話は、連赤のこと、辻クンのカメラセンスについてのことなどになっていった。
連赤撮影時のメーキングが、10分程のDVDになっていたので、トークの途中で、観客と一緒に見た。
驚いた。これはおもしろい映画になるなぁと、直感した。
画面に緊密度があり、迫力がある。
ぼくが見たのはメーキングで、辻クンのカメラそのものではないけれど、それでも充分、作品の出来の良し悪しはわかるものだ。
現場のせっぱつまった極限状況と、役者さんたちの熱気が伝わってきて、思わず身を乗りだして見ていた。
画面を凝縮し、監督の意志で切り取り、余分な要素をどんどんはじき飛ばしていく。
そして小説でもない、演劇でもない、映画そのものの言語を創り出して、文法化していく。
赤ん坊が生まれ出て、オギャーと泣いて、自分の皮膚感覚でこの世界を認識していくように、若松さんは初々しい眼差しでこの世界を切り崩し、再構築していく。
かつて若松さんが戦っていた60年代全盛時の、激情と艶(つや)が戻ってきたと感じた。
メーキングを見た後、再び若松さんとトークを開始したけれど、ぼくの心は高揚していた。
辻クンがこれでまた、一段ステップを上ったことを確信する。
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