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diary 大浦信行監督日記

2007年02月09日 11:41

監督ノート 百合花日記(ゆりいかにっき)

2月8日(木)
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8時20分起床。空は真っ青、大快晴。植物に水をやる。「おはよう、おはよう」。
クリスマスローズは、12個程の花と蕾を付けている。いつもより早い開花。
胡蝶ランチも、たくさん蕾を付けた。
こぶしは、淡い灰色の綿毛の蕾を、びっしり全身にまとっている。
紅色の花が咲く木瓜(ぼけ)も、丸い蕾を星座のようにして、抱え持っている。
無花果(いちじく)は、三角のとがった小さな芽をしっかりと出して、自己主張している。
皆んな、春の新世界を待っている。

夕方5時半過ぎ、自転車を漕いで、近くのスーパーまでビールを買いにいく。
空はまだ、昼間の明るさを残して青いのに、家並みは、黒いシルエットに染まっている。
昼でもあり夜でもある、どこにも行き場のない宙づりにされた瞬間が、世界の裂け目から漏れ出てきて、ぼくたちを異次元にいざなっていく。
このような光景を見るにつけ、ぼくはいつも、マグリットの「光の帝国」という作品を思い出す。
かつて住んでいたニューヨークでもそうだった。
夕方、家の近くにある、林に囲まれ広々としたプロスペクト公園から見る風景は、マグリットの世界そのものだった。
想像力の発揮は決して荒唐無稽(こうとうむけい)の観念から生まれるものではなく、確実にこの世界の裏側に潜む、闇の帝国からの反映そのものなのだ。
その場所から生まれ出る赤く煮えぎった想像力が、ときとして人々を、とてつもない恐怖に陥(おとしい)れる。
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大浦信行

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