日本心中

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diary 大浦信行監督日記

2007年02月05日 13:54

監督ノート 百合花日記(ゆりいかにっき)

2月4日(日)快晴。
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朝起きて台所にいくと、郁ちゃんが朝から慌ただしく料理をつくっている。今日は、二番下の妹さんちの新築祝い。加えて、彼女の旦那と、郁ちゃんのすぐ下の妹さんの還暦の祝いを兼ねた集まり。
それぞれの姉妹が、料理を持ち寄っての宴会だ。
それで郁ちゃんは、五品程つくった。
メニュー。ヤリイカとトマトとバジルのにんにく炒め、さつまいものレモン煮、クワイ(という芋)の素揚げ、大根のこぶ煮(これは二人の合作)、鶏モモむし煮。この鶏の蒸し煮は中華風で、これが仲々おいしい。蒸すことによって肉の油を落としながらも、身はしっかりと弾力性を保持している。
それらを手際よくつくっていく。
これらの食材は、郁ちゃんが朝早く、川崎の公設市場に買い出しにいって求めてきたものだ。彼女は普段から、長靴を履いてオートバイにまたがって、公設市場にいっている。そして段ボール一杯買い付けてくる。
この三姉妹は、とにかく仲が良い。いつも電話で話をして、笑い転げている。ぼくはこんなにもめずらしい三人を見るのは、生まれて始めてだ。郁ちゃんなどは、絨毯の上に仰向けに寝転がって、いつまでも話をしている。なんか、カエルがひっくり返っているみたいだ。
カエルと云えば、かつて郁ちゃんからこんな話を聞いた。
春先、アトリエの裏木戸のところに、大きなうしガエルがよく現われて、じっとそこに座り込んでいる。彼女がアトリエに行くと、いつも目が合う。親しそうに彼女を見つめている。彼女もつい話しかけたくなる。「今日は・・・」。
そのカエルはどっしりとして、動作もゆっくりと、のんびりとしている。
決して美人ではないけれど、そういったものを超越した不思議な存在感。つい自分との連帯感をおぼえてしまう。カエルと自分が、自然の中で一緒に生きている同じ生き物なんだなぁと思えてくる。
それからある日、ふとアトリエの池を見ると、巾が5cm位の帯状の、5m程もあるかと思われる半透明のものが、くねくねと浮遊していた。中に真黒な卵がたくさん並んでいる。うしガエルが生みつけた卵にちがいない。庭がパッと明るくなった。
郁ちゃんが妹たちと仲良く電話で話をしているのを見ると、ぼくはいつも、そのうしガエルの話を思い出す。
姉妹が仲が良いから、これまた旦那たちも輪をかけたようにいい人たちだ。だからぼくは、この人たちに会うとホッとする。浮き世のしがらみを忘れることが出来る。一時の治療の時間。
気分が良いので、しらずしらずビールと焼酎をかなり飲んだ。最後は大声で半分泣きべそをかきながら、話をしていたみたいだ。我孫子から新百合ケ丘に帰る千代田線の中で、今度は大声でペラペラ笑いながら話をしていたと云う。
みんな夢の時間だった。

大浦信行

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